男性型脱毛の原因と治療
体毛には皮膚の外に出ている部分を毛幹といい、皮膚の中に埋まっている部分を毛根と言います。また毛根を皮膚の中で包んでいる部分を毛包もしくは毛嚢といいます。
通常、髪の毛は1日に50~100本は抜けると言われていますが、それと同じ量が生えて成長しています。成長期の頭毛は 1 日につき 0.3 ~ 0.5 mm 伸びます。
このような髪の毛が生え、成長し、抜けるまでの過程を「毛周期(別名:ヘアーサイクル)」と呼んでいます。
頭毛の太さは毛包の大きさ、頭毛の長さは成長期の長さによります。
頭毛は、数年間成長を続け(成長期:頭毛の約 80 %)、その後 2 ~ 3 週間かけて退化を起こし(退行期:同 1 ~ 2 %)、数か月とどまります(休止期:同約 15 %)。
そして、同部位に新生毛が生じると、休止期にあった元の頭毛は脱落します。
成長期で細胞分裂を繰り返していた毛包が退行期に移行すると、毛包の収縮が始まり、細胞分裂は停止します。その後休止期に入り頭毛はやせてきます。
そして再び成長期を迎えると、毛包表皮は分裂を開始し、元のレベルになります。毛乳頭を形成し、毛母から新しい毛が生じ、これに押されてやせた頭毛は脱落します。
このように、毛周期には大きく分けて以下の3つの期があります。
成長期:髪の毛が成長し、太く長くなる
退行期:髪の毛の成長が鈍化する
休止期:髪の毛が抜けていく
通常、成長期の期間は2~6年と言われており、毛母細胞が活発に増殖して髪の毛を太く・長くします。
髪の毛全体の約80-90%がこの成長期に該当します。
AGAでは、後述のジヒドロテストステロンDHTの影響で、成長期の期間が「数か月~1年」まで短縮されてしまっています。
そのため、全体的に休止期に入る髪の毛が多くなってしまい、脱毛・薄毛になりAGAを発症してしまいます。
男性ホルモンの一種である「テストステロン」が髪の毛の毛根に運ばれると、「5α-還元酵素(5α-リダクターゼ)」と呼ばれる酵素によって、より活性の強い「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されます。
AGAの治療は、この5α-還元酵素を阻害することで、DHTの産生量を低下させます。DHT量が減少することで毛母細胞の増殖が元に戻り、成長期が延長します。その結果、AGAの症状進行を抑制できると考えられます。
現在AGA治療の内服薬として、フィナステリド、デュタステリドがあります。
デュタステリドは、フィナステリドの1.3倍のDHT低下作用を持つと言われてます。
外用薬として、ミノキシジル5%と併用します。
ミノキシジルの発毛作用は、毛乳頭細胞の成長、毛組織血流改善などにより、毛包の成長期期間の短縮を改善します。
当院では、内服薬を処方します。外用薬は薬局でご購入いただきます。
気になる方はいつでも御相談ください。
文責 院長 鳥越勝行