排尿障害とは、前立腺肥大症、過活動膀胱、神経因性膀胱、尿失禁、骨盤臓器脱などが原因で、膀胱に尿を貯め、貯まった尿を排泄するという過程に異常があることです。高齢の男性では前立腺腫大が尿道の内腔を圧排し、排尿に時間がかかる前立腺肥大症を発症したります。
また、女性では出産や加齢のために、尿道や膀胱を筋肉が支えきれなくなり過活動膀胱や尿失禁を来したり骨盤臓器脱を起こしたりします。
排尿サイクル障害は2つに分けられます。
排尿障害(尿をうまく出せない)
前立腺肥大症、神経因性膀胱、重度の骨盤臓器脱、骨盤内臓器の手術後(直腸がん、婦人科がん)などが原因です。
尿勢低下、排尿遷延、腹圧排尿、終末滴下(排尿の終わり頃に尿がぼとぼとと垂れること)
蓄尿障害(尿をうまく貯めれない)
過活動膀胱、肥満などの生活習慣病、神経因性膀胱、膀胱炎、膀胱炎、膀胱結石などが原因です。
昼間頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感、尿失禁など。
まず、手術歴、腎機能、男性の場合はPSA(前立腺癌のマーカー)をチェックします。その後、下記治療を行います。
生活習慣の改善
肥満、糖尿病、飲水過多、過剰な食事摂取、喫煙、便秘が原因として挙げられます。これらの改善は症状を緩和するために非常に重要なことです。
骨盤底筋訓練
骨盤底筋群の収縮力を増強させます。坐位や立位、仰臥位など様々な体位で行い、「腟を体の中にひっぱりこむように腟や尿道を締める」、「おならを我慢するような感じ」などのイメージで行います。1セットは10回程度で、毎日5セット程度行います。
投薬治療
(1)排出障害改善薬
α1受容体遮断薬、PDE5阻害薬、5α還元酵素阻害薬があります。
ハルナール、フリバス、ユリーフ、エブランチル、ザルティアなど
(2)蓄尿障害改善薬
抗コリン薬やβ3受容体刺激薬があります。
ベシケア、バップフォー、トビエース、ステーブラ、ベタニスなど
(3)その他の薬剤
漢方薬などがあります。
六味丸、八味地黄丸、牛車腎気丸、猪苓湯、猪苓湯豪四物湯など
文責 院長 鳥越勝行