加齢に伴って体の運動機能や生理的な機能が低下して、活動が低下した状態を「フレイル」と呼びます。高齢者の方がいったんフレイル状態になると、そのまま要介護状態になっていきます。
現在、日本の平均寿命は世界最高状態ですが、自立した日常生活ができる期間、いわゆる「健康寿命」は、平均寿命より男性で約9歳、女性で12歳も短くなっています。つまり9年から12年要介護状態が続くということになります。
フレイルを防ぐことが、健康寿命を延ばすには非常に大切になってきます。
フレイルは、からだの機能低下(身体的要因)だけではなく、認知機能低下、うつ状態(精神的要因)、一人暮らしなどによる引きこもり(社会的要因)が互いに影響しあって引き起こされます。
6か月で2-3キロの体重減少、歩く速度の低下、5分前の記憶の低下、持続する倦怠感などがありましたら、初期のフレイルの可能性があるので、医師に相談してください。
しかし、フレイルは早期に適切なケアをすることで、以前の健康な状態に戻すことができます。今までは、メタボ対策でカロリー制限をされてきた方が多いと思いますが、高齢期(一般に75歳以上)では、メタボ対策からフレイル対策へ生活習慣を切り替えていかなければいけません。
フレイルの予防・改善にとって大切なのは、周囲の人のとつながりを持つこと、筋肉を減らさないことです。筋肉を減らさないために重要なのは、運動と栄養です。この2つを取り入れることにより、筋力改善率は40%にもなります。
フレイル対策の食事は、まず朝、昼、夕の3食をしっかり食べることです。そして、タンパク質を積極的にとること、カルシウムをとること、ビタミンDをとることです。
そして、運動についてですが、患者様の身体能力によって変わりますので医師に相談してください。まずは無理なく、椅子につかまって、もしくは椅子に座っての運動から始めましょう。
文責 院長 鳥越勝行