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更年期障害

更年期症状

卵巣機能低下により月経周期が不順になってくると更年期に入ります。さらに月経が終わることを閉経といい、50歳前後に訪れます。

日本産科婦人科学会では、「更年期に現れる多種多様な症状の中で、器質的変化に起因しない症状を更年期症状」と定義しています。

「更年期症状の中で日常生活に支障をきたす病態を更年期障害」としています。

のぼせ、ほてり、発汗、易疲労感、肩こりなど身体的な症状に加え、イライラ、憂鬱、不眠などの精神症状も多いです。

 

更年期以降について

エストロゲン(女性ホルモンの1つ)の低下により、さまざまな変化を起こします。骨粗鬆症、高コレステロール血症、糖代謝異常などがあります。

骨粗鬆症は高齢になると骨折の原因となります。また、高コレステロール血症や糖代謝異常は、動脈硬化の危険因子であり、脳卒中や心疾患の原因となります。

更年期障害の治療と合わせて、こちらの治療も必要です。

 

簡略更年期指数(SMI)

まずは、今のご自分の不調が更年期症状であるかセルフチェックをしてみまし

ょう。

  なし
(1)顔がほてる 10 6 3 0
(2)汗をかきやすい 10 6 3 0
(3)腰や手足が冷えやすい 14 9 5 0
(4)息切れ、動悸がする 12 8 4 0
(5)寝つきが悪い、眠りが浅い 14 9 5 0
(6)怒りやすく、イライラする 12 8 4 0
(7)くよくよしたり、憂鬱になる 7 5 3 0
(8)頭痛、めまい、吐き気がよくある 7 5 3 0
(9)疲れやすい 7 4 2 0
(10)肩こり、腰痛、手足の痛みがある 7 5 3 0


小山嵩夫 日本医師会雑誌109:259,1993より

25点以上あれば、一度医師にご相談ください。

 

更年期障害の治療について

下記の治療法があります。患者様の状態、希望により最適な治療法を選択します。

ホルモン補充療法HRT

漢方

カウンセリング

精神科治療

プラセンタ

大豆イソフラボン(エクオール)サプリメント

 

まずは、ホルモン補充療法HRTです。

減少した女性ホルモンを補充してあげる治療です。特にのぼせ、ほてりに有効です。また、骨量減少抑制、脂質代謝改善、泌尿生殖器症状改善、うつ症状改善などの作用もあります。

一方で、乳癌、子宮体癌、心疾患の方などは禁忌です。静脈血栓症のリスクもあります。メリット、デメリットを知っていただいて、専門医へ相談してください。

 

ホルモン補充療法と併用したり、ホルモン補充療法に抵抗がある方に漢方薬での治療があります。

更年期障害に使用する代表的な漢方薬

加味逍遙散 のぼせ、ホットフラッシュ、動悸、うつ症状、不安

桂枝茯苓丸 のぼせ、発汗、動悸、下腹部圧痛、便秘

当帰芍薬散 冷え性、血色不良、浮腫傾向

女神散 のぼせ、顔面紅潮、めまい、不眠、不安

 

次にカウンセリング、精神科治療についてです。

女性はこの時期、対人関係の問題、家族問題などに直面することが多くなります。
エストロゲン低下による体調変化にくわえ、このような社会的要因、心理的要因(性格、生育歴)も絡み合って、様々な症状が出現します。
そのため、ストレスマネジメントがとても大切になります。
イライラ、不安、抑うつ、不眠などの症状が強ければ、精神科薬による治療が必要になります。まずはかかりつけ医に相談ください。

 

その他の治療として、プラセンタやサプリメントがあります。

プラセンタは更年期障害であれば、保険治療で投与できます。症状に応じて週2~3回で皮下注射をします。

また、大豆イソフラボンのサプリメントも有効であるといわれてます。尿検査でエクオール濃度をチェックすることで有効かどうか判定できます。

 

 

女性の平均寿命が約90歳と長生きになり、更年期は人生の中間地点にすぎません。この時期を上手に乗り越えて、第2の人生を明るく幸せに過ごしましょう。

文責 院長鳥越勝行